【第47回 家族に障害児がいます from N.Y.】外出中の危険

慣れとは恐ろしいもので、我が子との日々の生活を12年も一緒に送っていると色々と慣れというか油断が生じてくる。幼児だったころは本当に一時も目が離せなかったものだけど、この頃は一応こちらが言っていることを大分理解するようになり、以前ほど突飛な行動も取らなくなったことで私の方にも油断が生じてしまっていたと思う。

先日、外出先の駅の近くにある薬局のあるビルに息子は駆け込んでいった。そこは彼のお気に入りの場所の一つで、その駅を利用すると必ずと言ってよいほど立ち寄る場所の一つだった。彼の行動にはある程度のルーティーンがあり、予測しやすいことも油断を呼ぶ一因でもあったと思う。薬局は1階と2階にあり、その日も息子は一目散に2階を目指してエスカレーターに飛び乗っていった。彼の行動は猪突猛進。決して後ろを振り返ることなどない。どこにそんな自信があるのか分からないほど、親が自分の後を必ず付いてきていると思っているのだろう。もちろん必死で付いていくけれど、息子の動きは早い。そして加齢と共に私の動きは遅くなっている。夢中になっている時の彼にはこちらの声は届きづらい。結果、私と息子の間に他人が挟まることが多々ある。でも殆んどの場合、私が彼を見失うことは無い。が、この時はエスカレーターを下りた時点で彼の姿を見失った。「あれ?何処に行った?」と思いながら店内を巡り棚の間を覗いていく。大体行く場所は決まっているけれど、見えづらい位置にいたのか私の方から見えない。しかしあまり奥の方まで丁寧に歩いて確認していくと、本当にすれ違った時に余計に見つけづらくなるのでエスカレーター付近を中心に歩いて息子を探す。見つからない。もしかしてもう1階に下りてしまったのかな?と思い、階下へ下りて探すも見当たらず、私の中で焦りが増していく。

AnjaによるPixabayからの画像

「あれ?まさかビルの外に出てないよね?」不安になって出口から外の様子を確認するも、それらしき人物は見当たらない。大体、息子は私の姿が無い状態で一人で無謀に建物の外に出ていく確率は非常に低い。絶対に無いとは言えないけれど、確率的には低いと判断したので再度店内を探す。名前を呼んでも返事が出来ない息子を相手に探すのは厳しい。ハラハラしながら出入口付近にいた店員の男性に「黒いTシャツとグレーのパンツを吐いた男の子を見かけませんでしたか?」と聞いてみたが、彼は見ていないと返答。そこでむやみに歩き回らずに、出入口付近で息子を捕獲することに賭けてみた。そうしたらしれ~っとした表情でエスカレーターを下りてくる息子を発見!この時ほど心底ホッとしたことは無い。久しぶりに肝が冷えた気分を味わったが無事で良かった。ここ何年もこんな風に息子を見失うことが無かったから本当に油断していた。反省。そして対策を講じることを誓う。やはり成長してきて色々と楽になってきている部分はあるけれど、それでもやはり本当に信用してはいけないなと久々に思わされた事態だった。迷子になった場合、彼は親の名前も連絡先も分からない。辛うじて自分の名前くらいは書けるかもしれないけれど、それも定かではない。時々ニュースで自閉症の子供が迷子になって見つかっていないというニュースを見ることがあるが、それがいつ自分達に降りかかる問題になるか分からないということを改めて感じた瞬間だった。ほんと外出って体力も神経も使う。楽しそうなのは息子だけ。親の心子知らずって言葉がピッタリな我が家。平和にのんびり暮らしたいだけなのに、そんな生活は夢のまた夢。現実に対応できるようにまだまだ頑張らないと。

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