【第41回 家族に障害児がいます from N.Y.】初めてのサマーキャンプ / その3

息子を無事にキャンプ施設に送り届け、ほっと一安心 だが不安に包まれる私達夫婦。そんな私達のスマホに早速、担当カウンセラー君から息子の写真と動画が送られてくる。画像の中の息子の目は、、、死んでいた。今まで見たことないくらい目の中がどよんと曇っている。画像から伝わってくるただならぬ陰鬱とした雰囲気。まぁ初日だからね、と思い直すけれど不安な気持ちが広がってくる。息子のいない生活を満喫しようと思っていたけれど、初日の夜は息子の心配であっという間に過ぎていった。翌日、一晩寝て息子も少しは気分的に吹っ切れたかな?と期待しつつ、カウンセラー君からの連絡を心待ちにする私達。まだ寝ているのかな?ちゃんと朝食は食べているかな?排泄に問題はないだろうか?朝のアクティビティにはちゃんと参加出来ているだろうか?疑問は山ほどあるけれど、まだキャンプも始まったばかりだし慣れるにも時間が必要だろうと必死に心を落ち着けようとする私達。会話の内容は全て息子に関する心配事ばかりだ。そして昼近くに待望の連絡が入る。「この様子はいつも通りですか?」という疑問符と共に送られてきた動画はブランコに座ってゆる~り、ゆる~りと揺れている息子の姿。「い~え、これは全く普段とは違う様子ですね。」と早速返信。息子の目は相変わらず死んでいる。そしてブランコ大好きな息子が、こんなゆるりとした揺れの中で佇んでいることはない。今まで見たことのない様子の息子が動画の中にいた。カウンセラー君曰く、朝起きて息子は真っ直ぐに私達が前日に車を駐車した場所に走っていったとのこと。そして車が見当たらない状況に絶望したのか、普段と全く違う様子が送られてきた動画に映されていたわけだ。う~ん、切ない。切な過ぎる。息子の絶望した心の声が耳元で聞こえるようだ。こちらの心もぽっきりと折れそう。でもいかん!ここであっさりと音を上げて息子を引き取りに行ったら、キャンプに対する嫌な記憶だけ残すことになってしまう。何事も時間が必要。慣れるまでもうしばらく様子を見てあげて下さいとメッセージを送り、私達は気もそぞろに普段の生活に戻っていった。

LuizaによるPixabayからの画像

キャンプ始まって直ぐの頃は、息子、カウンセラー君共に慣れない相手に試行錯誤だったと思われる。時々送られてくるカウンセラー君からのメッセージも謎な時があり、ある日の昼頃に送られてきたメッセージには「昨日、息子君は遅くまで起きていたようで、今、テーブルの上に頭を乗せて寝ている」と報告が。そうですか、そうですか、やっぱり遅くまで起きていたのか、、、と思っていたら、「今夜はなるべく早く寝て欲しいのだけど、今の時間に寝ていたら難しいよね。起こすべきなのかな。」と聞いてくるカウンセラー君。もちろん!「直ぐに起こして下さい。」と答える私。そしてその私からのメッセージに「どうやって?」と返答してくる彼。(え!大丈夫か?普通に揺り起こすなりすればよいのでは?)と軽く不安がよぎる。大丈夫だろうか?彼は単純に不安で聞いてきているのか?それとも特別なテクニックが必要だと思って聞いてきているのだろうか。色々ぐるぐる考えている間に「あ、起きた。問題ないので気にしないで。」と返信がある。良かった、、、なんかよく分からないけれど勝手に解決して良かった。それから息子がなんとなく慣れるまでに5日間くらい掛かった気がする。もう彼はキャンプに慣れてきたようだよ。という連絡がありホッとしたのも束の間、やはり色々と問題はあったようで最後まで試行錯誤感のあるメッセージが届いていた。途中、担当のカウンセラー君がコロナに感染したかもしれない疑惑が出たり(検査した結果、陰性だったとのこと)、息子に振り回されて体調不良と寝不足と色々なことでカウンセラー君の神経も疲弊していたりとあったけれど、無事に10日間を乗り切ることが出来た。長いような、しかし短いような10日間だった。とにかく心配事は色々あったけれど、息子が生まれてから初めてもの凄く静かな夜を過ごせる日々だったことは有難かったなぁ。私達夫婦だけだったらこんなにも静かな日々を過ごせるのかぁ、、、、としみじみとした気持ちになったものだ。息子がキャンプから戻ってくる前日の夜。私は別の意味で涙で枕を濡らしたものだ。さようなら、穏やかな日々よぉ~~~~。また来年の夏まで忍耐の日々だぁああああ!

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