【第40回 家族に障害児がいます from N.Y.】初めてのサマーキャンプ / その2

キャンプ初日。いそいそと準備をし、息子の朝食兼お昼ご飯を用意する。キャンプ施設に行ったら夕食までご飯は無いはずと思い、これから10日間ほど母の味を食べられなくなると思って息子のいつもの好物を用意。しかし目覚めてからずっとダラダラし続けている息子はなかなか食卓につかない。出発時間が迫るなか、段々とイライラしてくる私。そんな親の心子知らず、とはまさに我が子のこと。とにかくお腹が空くと機嫌がすこぶる悪くなるし、温かい食べ物は温かくないと食べない息子を急かしてご飯を食べさせる。食べ始めたらのんびり、ダラダラと食べ続ける息子はいつも通りに満足するまで食べ続けるつもりらしい。いやいや、残念だがもう出発だ。キャンプ施設には予定よりも早く到着。施設の人の説明では、うちの子に付いてくれるカウンセラーの人が休日の間にマンハッタンに行っていたらしく、マンハッタンからバスで来る他の障害者の人達と一緒に戻ってくるということだった。連絡先の交換もしたいし、息子を紹介したい。そして何よりも10日間もの間息子をお世話してくれる人がどんな人なのか、この目で確かめたいと思っていたので彼の到着を待つことに。息子は始め、広い敷地内にあるブランコや他の遊具に興奮して走り回ったり、ブランコに乗ったりと楽しんでいたけれど、段々と飽きてきたらしく家に帰りたいという素振りを見せ始める。しかしまだ肝心のカウンセラー君がやって来ない。仕方なく息子をなだめつつ、待つ、待つ、待つ、、、、そして1時間以上過ぎてやっとカウンセラー君とご対面。彼もまさか担当する児童の親がじっと自分を待っていると想像していなかったようで、バスから下りて慌ててやってきてくれた。まだ大学生くらいだろうか?若い青年だ。取り合えず慌てて息子を紹介。息子の簡単な特性と苦手なこと、好きなものなどを一通り説明しお互いの連絡先を交換する。このキャンプでスタッフとして働いてくれる人の多くがヨーロッパから来た人達で、あとは南米からのスタッフも多いと聞いた。例に漏れず息子を担当してくれる彼もイギリスから来たフィリピン系の男性。小さい妹がいるようで、子供には不慣れではないらしい。しかしこれからの10日間は彼にとっても試練と冒険が詰まったものとなるだろう。本当に頑張って頂きたい。そうして漸くキャンプ施設から出ようと車に乗り込んだら、息子も一緒にやってきて車に乗り込もうとする。いやいや、君はこれから10日間、このお兄さんにお世話になりながらキャンプ生活を満喫するのだよ、と優しく車から引き離すが悲し気な顔をして再び乗り込もうとする。仕方が無いので車から下り、息子の手を引いて車から離れたところまで連れていき、そこでカウンセラー君に息子を引き渡し「キャンプを楽しんでね。10日後に迎えに来るから。バイバイ!」と言って手を振ったら、息子もそれに応じて逆手バイバイをしてきた。理解したか不明だけど、バイバイをしたことで別れることは何となく理解したと思う。そんな姿を見て旦那はぐずぐずしていないでサッサと息子が傍にいないうちに帰るべきだったとお怒り気味。悲しい顔の息子を見て自分自身が辛かったのだろう。理解は出来るが、私はちゃんとバイバイをしてお父さん、お母さんは帰っていったことをしっかり認識させたかった。

AlexaによるPixabayからの画像
寂しいかもしれないけれど、そうすることでむやみに親の姿を探すこともないだろうと思ったからだ。とにかく、キャンプ施設に着くまでのウキウキ、ドキドキ気分はどこへやら、帰りの道中は夫婦共に口数も少なく、暗い気持ちのまま自宅へと向かうのだった。子が親離れすることよりも、親が子離れすることの方が案外難しいのだな、、、と、子供の成長と共に何度も痛感する。だが、そんな気持ちも静かで平和な夜を迎えることですっかり忘れていってしまうのだが。続く!

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