【第39回 家族に障害児がいます from N.Y.】初めてのサマーキャンプ その1

うちの息子は生まれてから今年の夏までの12年間、親元から離れて夜を過ごしたことは1日も無い。学校へ行っている間以外は常に親と一緒。それはそれはピッタリと、外を歩く時も手など繋ぎながらとんでもない行動を起こさせないように細心の注意を払って行動。あまりにも一緒にいるから言葉なんてなくても、彼の行動パターンはほぼ把握しているので意思の疎通もそこそこ大丈夫。食べ物の好みも何もかも親と一緒にいる限り、彼が困ったりストレスを溜め込んだりすることはほぼ無い状態になっている。なんと幸せな我が子!彼がストレスを溜め込んでいない陰で逆にストレスを溜めているのが私だ。毎日なにが楽しくて彼の好みの料理をセッセと作り、彼の好きな場所へだけ赴き、彼の興味のあることだけを追求する毎日。学校に行っている時間がなかったら間違いなく憤死していると思う。そんな我が家だが、この夏に思い切って息子をあるイベントに参加させることになった。それは「9泊10日のサマーキャンプ」である。いきなり長期の宿泊キャンプ。考えるだけで動悸が早くなるというものだ。大丈夫なのだろうか?彼は10日間もの間家を離れ、YouTubeからも離れ、自分好みの食事から離れて暮らせるのだろうか?疑問と不安は尽きない。尽きないがちゃっかり申し込みはしてみる。年に1度、うちの子のような知的障害を伴う障害を持つ子を対象としたサマーキャンプがNY州の北の方でオープンするのだ。緑たっぷりな広大な敷地内で、乗馬やボート、プールに小動物たちとのふれあいなど、色々なアクティビティが用意されていて、一人のキャンパーに一人のカウンセラーがついて常に行動を共にしてくれるという素晴らしいキャンプ。知人の息子さんも何年も利用していて、本当に気に入っていていつも大満足の様子で帰って来るという話も聞いていたし、私個人としても大変興味深いキャンプだと感じていたので、是非参加させてみたいと考えていた。生憎このコロナ感染拡大によって、当初の予定より2年ほど遅れて参加することになったけれど、何とか参加することが出来ることになり期待と不安で揺れに揺れまくることになる。

Pavel SbitnevによるPixabayからの画像

まずは申し込みにあたって色々な書類を提出する必要があったので、息子のかかりつけの小児科医に必要書類にサインをして貰ったり、息子のスピーチセラピストからもサインをして貰ったり。あとは私が粛々と各書類に必要事項を記入。全ての書類をキャンプ主催のエージェントへ提出。そしてハンドブックに記載してある持ち物リストに沿って必要な物を取り揃えていく。もちろん衣類を含めた持ち物全てに名前を記入。ハンドブックには無くなることも想定して、決して高価な服や物を持たせないで下さいと明記されている。確かに。高価ではないけれど、新調した黄色のレインコートはキャンプから無事に戻って来なかった。来年も着られると思っていたのに悔しい、、、。来年は全て使い古しの衣類を持たせることを心に誓う。そんなこんなでキャンプの日に向けて着々と準備を進めていった。息子を連れて2度ほど現地を訪れ、キャンプ施設の外観を見せる。「8月に君はこの場所で初めてのキャンプを体験するんだよぉ~。」と何度も声を掛け、自宅ではウェブサイトの写真を見せながら耳元で囁き続ける。スーツケースの中に荷物を詰めている様子を見ながら、息子も何か通常ではないことがあるのかな?とソワソワしている。キャンプ前日は何とも言えない期待感と不安で心の中がぐるぐるしていた。でもどちらかというと息子のいない時間を過ごせる期待感の方が高かったのが正直なところ。あとは無事に出発してサマーキャンプの施設に息子を送り届けるだけだ!この夏で一番、私の気持ちが高まった夜だったと言えよう。この続きはまた次回!

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