【第38回 家族に障害児がいます from N.Y.】知的障害を伴う重度自閉症の子の良い点

正直一緒に暮らすには問題山積みの自閉症の我が子だけど、考えに考えて彼と一緒に暮らすうえで恵まれてるかな(?)と思えることを捻りだしてみようと思う。

1. 人間関係による面倒なトラブルが無い
幸か不幸か、我が家の息子君は他人に全く関心が無い。関心というよりも他者という存在にあまり気付いていない感じもする。同年代の友達は全くいない。なので下校後や休日などに他のご家族と関わることもなく、いつも単独行動。寂しい反面、気楽でもある。誰ともお付き合いが無いということは、人間関係のトラブルが最小限に抑えられているということだ。私自身あまり人付き合いが上手とも言えないので、この面では正直息子に感謝している、、、かな?

2. 虐めなどの問題が起こる危険性は少ない(現在のところ)
我が子が通っている学校は全員ある程度症状が重い自閉症児ばかり。よって、他人への関心が薄いか、高度な知恵を使って虐めようという発想が起きないレベルの子が大半だと思われる。虐めではなくて発作的に起こる他害はあるかもしれないけれど、意図的に相手を苦しめようという行動になる子はほぼいないと想像出来る。そして何よりもクラスの人数が6人や8人という少数なので、大人の目がしっかり行き届いているという安心感もある。障害による問題行動という問題はあるけれど、対人関係で起こる虐めを心配する確率が非常に低いのは有難い。

Gino CrescoliによるPixabayからの画像

3. 他の子供との間に無駄に競争心を煽られることがない
人間というのは欲深いものだと思う。結婚前は結婚はまだかと言われ、結婚すればお子さんはまだかと思われることもある。子供が生まれればその成長過程でうちの子はもうあれが出来た、これが出来た。あそこのお子さんはこんな習い事に行っているらしい。学校はどこへ?成績は?そして将来的にはどんな職業についたとか、もう結婚したのかどうかとか。常にどこかで相手のレベルと自分のレベルを比べていたりするものだと思う。どんな時でもこっそりとマウントを取り合っているのが人生なのかもしれない。しかし我が家の場合はかなり早い段階でそんな競争から脱線。そして周りの人達と同じトラックに戻ることは二度とない。知的な遅れもなく、障害自体が軽かったらジリジリとした焦りを感じたかもしれないけれど、焦りすら感じさせてくれないほど大周回遅れの我が子。他のお子様との成長の差を感じて悲しくなる時もあるけれど、その事で苦しむほどの時期はとっくに過ぎてしまった。なので世間とはかけ離れた気分で自分たちのペースで暮らせるのはもしかしたら逆に有難いことなのかもしれない、、、と思うようにしている。

4. 子供の行動を把握するのが比較的簡単
嫌でも常に一緒に行動していなければいけない相手であるから、彼の行動範囲や行動パターンを把握するのは比較的簡単である。親の見ていないところで何しているか分からない、なんて心配はほぼ皆無。人間関係自体が構築されていないから、人間関係絡みのトラブルも無い。SNSなどを介して知らない人から誘われて変なことに巻き込まれることもない。知らないうちにゲームに課金しまくって、高額請求があとから来るということも今のところは起きそうもない。そういう意味では人間関係が可視化しづらくなっている現代子育て事情の中では、意外とシンプルに子育て出来ている気もする。

無理やり捻りだしたらザっとこんなところだろうか。ただ、基本的に幼児の育児が一生続くと考えると全くと言ってよいほど楽なことはないのだが、良い面を無理やり考えようと思えば上記のような好材料も無くはない、、、と思いたい。
  
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